ミッキーを着る、地球・環境・社会・人に寄り添うサステナブルデザインコレクション
モリリン株式会社×ANREALAGE
MAISON CIRCLE by ANREALAGE
WEARABLE MICKEY COLLECTION
CASE STUDY 03
「楽しい」や「かわいい」という感覚を大切に。楽しく洋服を選ぶことが、環境配慮へのきっかけとなるユニークなコレクション。
サステナブルを体現する2社が発信する新たなデザイン“WEARABLE MICKEY”
https://www.instagram.com/p/CO2k0I-DEQW/
モリリン株式会社のサステナブルデザインを掲げるブランド「MAISON CIRCLE」。2021年3月に発売が開始されたファーストコレクションでは、「ANREALAGE」とのコラボレーションを実現しました。そのコラボレーションテーマを“WEARABLE MICKEY(ミッキーを着る)”とし、ミッキーアイコンの形をした洋服を含むコレクションを発表しています。
「MAISON CIRCLE」はファッションを通じてサステナブルな社会を実現することを掲げ、このブランドに賛同する商品及びサービスは天然由来やリサイクル原料を使用しています。また、製造過程にも変化を取り入れ、消費者から見て「安心・安全・社会貢献」の証となるコレクションです。
また、森永邦彦さんがデザイナーを務めるブランド「ANREALAGE」は、A REAL-日常、UN REAL-非日常、AGE-時代、を意味し、2014年よりパリコレクションへ進出、今世界中で注目を集めているブランドです。
立ち上げ当初からサステナブルを意識したものづくりを行ってきた、「ANREALAGE」とモリリン株式会社だからこその、2社による取り組みからこのユニークなコレクションが生まれました。
サイズやプロセス、デザインが変える、洋服の廃棄問題
「神は細部に宿る」がコンセプト。デザインで今までの服作りのルールを変える
2003年より、「ANREALAGE」は活動を開始し、東京コレクションで10年活動を続けた後、2014年からはパリのファッションウィークでコレクションを発表しています。
株式会社アンリアレイジ 代表取締役社長/デザイナー 森永邦彦さんにお話を伺うと、「日本でサステナブルという言葉が出る前に、ヨーロッパでは既にサステナブルについて意識があり、それがブランドを見る指標の一つになっていたと感じています。そのため、海外へ進出したタイミングでは、よりサステナブルに対する意識を強く持って活動することになりました。ただ、その流れがあったから意識を持ち始めたというわけではありません。私たちは『神は細部に宿る』という言葉をブランドコンセプトとして、もの作りをしてきました。細部というのは、ただ細かいものというよりも、多くの人が通り過ぎていってしまうもの、例えばそれが廃棄されていくテキスタイルであったり、使うことが当たり前になっているような概念であったり。多くの人が見過ごしていることを拾い上げて、日常と非日常のコンセプトを作り上げています。」と、語りました。
「ANREALAGE」の具体的なサステナブルなスタイルへのアプローチの一つは、サイズの選択肢を細分化しないこと。様々な体型あるいは男女の体系の違いにより境界ができない、誰もが等しく着られるデザインというのを追い求めることで、極端に細分化されたサイズによる洋服の廃棄問題に関して、独自のアプローチをしています。また、服を作るにあたって、プロトタイプをたくさん作るというのが今までの現状で、プロトタイプは表には出せないということで廃棄されることも多くありました。そのため、このプロセスにおける物理的なロスをどれだけ減らせるか。全てデータ上でデザインを作り、フィッティングをして。試行錯誤したい部分は全てデータの中でトライアンドエラーを繰り返し、最終的にサンプルを作るものは、物理的なサンプルも一点に集約して、制作のプロセスを変えるということも行っています。「今までの服作りというルールを少しずらすことで、よりロスを少なく、また服を着る方がより長く着用できることを目指しています。」と、「ANREALAGE」のサステナブルへの取り組みを森永さんは語りました。
素材づくりからデザインまで、変わるモノづくりを発信する新たなブランド
モリリン株式会社は、綿の仲買および綿糸・綿織物の販売から起業して350年以上、『豊かな暮らしの創造のため』に貢献するべく、繊維業の原点とも言える素材にこだわり、独自の素材開発にも力を入れています。繊維専門商社としてもの作りを行う中での実感として、ファッション業界が直面している環境負荷や衣料廃棄などは既に差し迫った問題となっているという。
2020年3月から、”モリリンが明日の為に出来ること”として、M.E.P<モリリンエコプロジェクト >を立ち上げ、サステナブルな世界に貢献しています。例えば、モリリン株式会社では洋服などの繊維製品を販売するだけでなく、もの作りの過程がもっとサステナブル、より環境に良いものをしっかりとお客様に届けたいという考えの下、素材づくりから最終製品まで一貫して携わっている中で、独自に開発・認定するエコテキスタイル<M.E.T>の活用に取り組んでいます。再生ポリエステルやオーガニック、環境に配慮をした工場でものづくりをするなども行っています。
その一方で、モリリン株式会社の取り組みや素材へのこだわりについて、洋服を購入された方にも伝わりにくいのではないかと考えられ、toBだけでなく新しくtoCに向けても発信ができないかと、新たなブランドである「MAISON CIRCLE」の立ち上げに至りました。
同社常務取締役の土屋さんは、「アパレルでは何回もサンプルを作って完成系を作るということが多いのですが、それをデジタルで、3D_CAD(スリーディキャド)を活用していく、ということを何年も前から我々も取り組んでいます。作るまでの過程もサステナブルというか、無駄なことを減らそうということです。また、デジタルフィッティングにも取り組んでいて、そういった技術の活用も、この「MAISON CIRCLE」の中でアプローチができたらと考えています。」と、「MAISON CIRCLE」の取り組みについて話しました。
ミッキーマウスがいることで「楽しい」を選び、環境配慮のきっかけに
「ファッション業界の中で、サステナブルに対する意識は高い一方で、ただ、具体的にどうすれば良いのかという悩みもあると思います。その中で、『MAISON CIRCLE』のような取り組みは解決の糸口になりうるアイデアです。」と語る、土屋さんに、「MAISON CIRCLE」の記念すべき、ファーストコレクションにミッキーマウスのデザインを取り入れた理由について話を伺いました。
「若い人の方がサステナブルに対しての意識が高いように感じています。そういった方々に向けて、広めていくための方法を考えた際に、ミッキーマウスというアイコニック且つポピュラーなキャラクターを使わせていただくことにより、取り組みが広がっていくのでは、というようなイメージを持ちました。サステナブルだから洋服を買うということではなく、洋服として楽しい、かわいい、おもしろいという共感を得た結果、サステナブルになるという流れを我々は理想としています。また、サステナブルを押し付けることは、消費者にはなかなか響かないと思っています。もちろんそれがベースにありながら、あくまでファッションとして発信していきたいと感じていて、『楽しい』や『かわいい』という価値観を感じていただくことが一番大事であり、その中で環境配慮などに少しでも共感してもらう、MAISON CIRCLEがそのきっかけになればベストだと考えています。その、楽しさと環境問題をつなげるのが今回でいう、ミッキーなのです。」
ミッキーを着るワクワク感が広がった
着る人の体系にフィットするから、幅広い層にも受け入れられるデザインに
「MAISON CIRCLE」の由来は、次世代へのバトンやファッションを象徴する「メゾン」と、円環や循環、地球を起想させる「サークル」。ファーストコレクションの反響は大きく、ローンチ後は幅広い層の購入があり年齢層も様々で、女性を中心として男性の購入や海外からの問い合わせもあったという。
その「MAISON CIRCLE」のファーストコレクションのテーマは“WEARABLE MICKEY(ミッキーを着る)”とし、ミッキーアイコンの形をした洋服を発表しました。人の体に準拠しないミッキーマウスの形の洋服は、千差万別な体型の違いを超越し、体型差によるサイズロスを削減、サイズによって選択されない洋服のあり方を見直し、洋服の廃棄量削減の可能性を秘めています。
3つの丸で表現されたミッキーマウスのアイコンが実は洋服になっているというユニークなデザインは、 ワンサイズで同じ形での展開。それがこのコレクションの一つの特徴です。また、サイズによるロスを生まないだけでなく、生産工程や素材にもこだわり、染色工程を踏まない原着ポリエステルを使用する、バーチャルフィッティングを用いるなどあらゆる面において環境に配慮した商品となっていることも注目すべきポイント。
WEARABLE MICKEYのコレクションは、知名度が高く、幅広い層に大きな発信力や影響力を持つディズニーのキャラクターを活用することで、広く消費者にサステナブルを身近に感じてもらうことにもつながっています。
より広げていくために、続けていきたいディズニーとの取り組み
「ミッキーマウスはファッションブランドがなかなか築くことができない唯一無二で普遍的な象徴。ディズニーのブランドとしての姿勢、世代を超えて愛されるあり方を感じ、一緒に取り組みができたことを嬉しく感じています。」と語るのは、ANREALAGEの森永さん。この“WEARABLE MICKEY COLLECTION”の前からANREALAGEはディズニーとの関わりがあり、パレコレクションで『スター・ウォーズ』のコレクションを発表したことも。「今後もディズニーのキャラクターを用いた展開を続けていきたい、そして海外への商品販売やアバターといったデジタルのコンテンツの作成なども一緒に取り組めたら。」と展望を語りました。
モリリン株式会社も同様に、以前からディズニーとの取り組みは多くあり、そのラインナップはプリント中心のデザインでした。キャラクターのアイテムは手ごろなボリュームゾーンの価格帯の商品が多いなかで、MAISON CIRCLEは中価格帯へサステナブルな文脈とともに広げた新しいブランド。土屋さんは今後の取り組みについて「ディズニーさんのキャラクターや理念は素晴らしいものがあると思います。当社では、例えば異業種の方も含めた様々なコラボレーションと行っていきたいと考えています。サステナブルな取り組みについて、それが実現できることを発信できれば、若年層を含む多くの人に伝わりやすく、良いですよね。」と語りました。
モリリン株式会社とANREALAGE、そしてMAISON CIRCLE by ANREALAGEの今後の展開もご注目を。
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